文芸社で海外留学の記録をエッセイとして出版したエピソード
出版するまでの経緯:濃い留学エピソードを記録に残したかった。
大学時代に海外留学をしたことがあります。
1年弱という期間の留学でしたが、まるで2年くらい滞在していたかのような内容の濃さとその充実感が帰国してから沸々と膨らんできて、どうしても留学の記録を残したくなり、思い出したかの様に当時の記憶を遡って日記を書き出したのがきっかけです。
今思えば1年以上前のことをよくあんなにも鮮明に覚えていたな・・・と自分でも驚きますが、当時は本当に全ての記憶を鮮明に覚えており、気付いたら物凄い分量の日記を書き上げていました。
その足で大小何社かの出版社にコンタクトを取って、出版を打診してみました。
しかし「留学程度で出版とは内容のスケールが小さすぎるのではないでしょうか」などと、なかなか辛辣なコメントをもらいつつ、いくつもの出版社から門前払いなどを受けてしまっていました。
その中で、文芸社様は温かく話を聞いてくださり、「実際の文章を見てからにはなるが、文章次第では出版を是非応援したい」と仰ってくださり、文芸社で出版しようと思うに至ったのです。
原稿状態から本が完成するまでの実際の流れは・・・
なお実際に原稿を送ってみると「内容は面白い。でも出版するにあたって、あと数十枚は書かないと作品としては短すぎる」と言われてしまいました。(日記なので、大きな文字で殴り書きしていたため、思っていたより分量が少なかった様です)
しかしながらそこは時間のある大学生。
2か月程度で倍以上の枚数を書きあげ、文芸社様からも「これならOK」と言ってもらうことが出来ました。
ここからは編集者と打ち合わせの始まりです。
私の家は地方だったため、初めの時だけ編集者さんと顔を合わせて打ち合わせを行い、今後の進め方などを含め綿密に計画を立てました。
それ以降はある程度原稿が固まっていたので、ゲラ校正を編集者とのメールや郵便のやりとり中心に行い、最後まで続きました。
*ゲラ校正:
著者が書いた原稿を、編集者がチェックしてOKとなった後、実際の本のレイアウト上に文章を落とし込んだもの
なお、私はイラストが得意だったこともあり、表紙のデザインと中の挿絵も自分で書きたいと申し出て、修正コメントを貰いながらイラストも最後まで書き上げ完成することが出来ました。
文芸社様からは完成予想図を事前に頂いたので、実際の出版の前の時点で、少しずつ実感が沸いていくのをひたひたと感じていました。
文芸社が売れると思ってくれたのか、自費出版ではなく協力出版になった
最初のうちは「自費出版」をするつもりだったのですが、出版社担当から「協力出版」にしたいと伝えられました。
協力出版とは、出版費用の一部を文芸社様が負担する代わりに、売り上げの一部を文芸社に納めるといったものです。(商業出版と自費出版の中間ですね)
本印刷までは確かに自費ですが、私の場合、編集の手間や小さな広告、書店への搬送などの費用を文芸社様に持って頂くことが出来ました。
自分の経験がプロの目線でも評価されうるものとわかり、とても嬉しかったですね。
文芸社での出版で良かったこと、悪かったことは・・・
なお、編集者とのやりとりで、言葉の使い方や語尾の選び方で文章の効果や印象が変わることを学びましたし、本の1ページを埋めるのは原稿用紙1枚ではなく、思ったより字数を要するのだということも実感し、中々良い体験になりました。
最初に少ない原稿を読んでもらった後に頂いた担当者からの手紙で、こういう点はとても良く直した方が良いという指摘も適正でしたし、全体に身に余る評価だったことが、追加で書こうとする意欲を吹き込んでくれました。
その文章がとても素晴らしく、いかにも出版に携る人の文章だなと感じさせる言葉の選び方でしたので、余計に嬉しかったのを覚えています。
出版が決まるまで、いつまで様式変更が出来るとか、出版日はいつどこの書店に何冊並ぶなど、綿密な連絡を頂けたことも良かったと思います。
悪かった点といえばケアレスミスでしょうが、最終のゲラチェックまでは正しかったのに、印刷が出来上がってから読み直したら、1文字に濁点が抜けていたことを私自身が発見し、残念だったことです。