好きなことをやっていたら「本を出版しませんか?」と2回も声がかかった体験談(翔泳社、明日香出版社の評判、口コミ)
ごく普通の一般人が本を出版するまでのエピソード
「著書がある」という一点で、私の環境は大きく変わりました。
さまざまな場面で優位に立てますし、テレビや雑誌からオファーを受けることもあります。
しかし、出版前の私は特別なことなどない「普通の人」でした。
それなのに、どうやって美味しい地位をゲットしたのか、少しお話していきましょう。
「FLASH職人になる本」を出版しました。
私はこれまで2冊の本を出版したことがあります。
私が執筆した1冊目は『FLASH職人になる本』という動画制作ツールの教則本です。
ハンドルネーム(ネット上のペンネーム)で出版しました。
FLASH職人は少し前の文化ですので、簡単に説明します。
個人でも簡単なアニメーションを作れるFLASHというツールが2000年頃に隆盛したのですが、FLASH作品を制作する人はネット上でFLASH職人と呼ばれていました。
クルクル動く本格アニメから、感動実話の紙芝居まで作品が多数溢れ、当時は人気作品なら数百万再生は当たり前の「フラッシュブーム」になっていました。
つまり、私が書いた本は「ニコ生主になる本」「ユーチューバーになる本」のようなものです。
ともかく、そういった人気にあやかって売れると踏んだ出版社からお声が掛かったのですが、実は私はFLASHを人に教える「職業」にも就いたことはありませんし、専門学校で学んだことも、書籍一つ読んだこともないのです。
どうして専門家でもない人が専門書を出せたのか?→趣味に徹底的に打ち込んでいたから。
では何故私がFLASHの専門書を書けたのでしょうか。
それは私がFLASHが好きで打ち込んでいたからに尽きます。
当時を思い返すと、FLASHとの出会いは偶然でした。
たまたま自宅のパソコンにソフトが入っていたのです。
興味はあったので丸い図形を四角にミョーンと変えるといった簡単なところから始め、それっぽい短編作品ができるまで2週間くらいだったでしょうか。
出来具合はさておき、人に見せたくなってネットにアップしたところややウケ。
気を良くした私は頑張りました。
3分くらいの当時としては長めの作品を作りネットにアップしたのです。
そして大ウケ。
今から見れば技術的には拙いのですが、気合とネタ感満載の面白い作品に仕上がりました。
そしてネット上で反応があるので嬉しくなってまた面白いものを作ろうと意気込み、時には批判されて落ち込み、次こそはと頑張っているうちに、いつの間にかそこそこ腕が立つFLASH職人になっていました。
褒められる→頑張る→だから上達するというサイクルは本当に良いものです。
趣味や勉強や仕事や日々の家事でも、褒められると頑張っちゃいますよね。それと同じです。
さて、おもしろい作品を見て「自分も作ってみたい」と思うのは自然でしょう。
FLASHのコミュニティにFLASH職人希望のワナビーが押し寄せるようになってきました。
補足:ワナビー (wannabe) :
want to be(…になりたい)を短縮した英語の俗語で、何かに憧れ、それになりたがっている者のこと。 上辺だけ対象になりきり本質を捉えていない者として、しばしば嘲笑的あるいは侮蔑的なニュアンスで使われる。昔の言葉です。
そんなワナビーは、正直邪魔臭いと邪険にされていましたが、私たちだって初めは初心者。
「職人が増えれば素敵な作品も増えるかもよ?」と考えた私は、夏休みを利用してネット上で無料講座を開催することにしました。(今考えると良くただの素人の私がセミナーを開こうと思ったと思います。。)
この講座がきっかけで、この講座の受講生に紛れ込んでいた出版社社員の方より執筆を持ちかけられ、本を出版することになったのでした。
2冊目の本は、自分の仕事について情報発信していたら、出版社の目に止まった。
2冊目の本はビジネス書です。
『あたりまえだけどなかなかできない○○のルール』というシリーズ本があり、○○の部分にそれぞれビジネス関連のキーワードが入ります。
私はこの本の出版前の時点では、無名な1ビジネスパーソンでした(1冊目の出版は匿名で行ったので、本名で出版するのはこの2冊目が初めてでした)。
もちろん教壇に立ったり講演をしたりして、何かを人に教えていたわけではありません。
当然のことながら出版なんて夢にも思っていませんでした。
この時、会社を退職して独立起業したばかりだったので、実は自社の広告宣伝活動に必死になっていました。
「こういうビジネスを始めました」とか「このような利点があります」といった情報を、ホームページや業界誌に載せたり、プレスリリースをして何とか知ってもらおうと頑張っていました。
それでも本業の受注にはなかなか苦労していましたが、そんなときに「そこまで自信があるなら、いろいろビジネステクを知ってるんだよね?出版してみない?」と出版社の編集者さんに声を掛けられ、出版が決まりました(この方は私のWebをたまたま見てくれただけでした)。
確かに精一杯の工夫はしていました。
そのビジネスキーワードで検索するとグーグルで常時1〜3位くらいの上位にいるサイトにはなっていたのです。
自分の本業のために努力していたら、いつの間にか出版していた。
この時に思ったのは「私に書けるということは、他にも書ける人がいる」ということです。
私のサイトはごく一般的なビジネスキーワードで検索に引っかかるサイトですから。
素人こそが、自分の経験やアイデアを生かして出版すべき!
もし「書籍はプロ中のプロが書くもので、素人に毛が生えたレベルの自分が出版することなんてありえない」と思っているなら大間違いです。
これは私も出版後に気付いたことですが、逆にプロ中のプロなら自分のノウハウを明かさない、明かせないのです。
可能性としては、まず「本当に秘密だから」。部外秘、社外秘、国家機密。こんなものを出版して広く世間に知らしめたら捕まります。
また、捕まらないにしてもミシュラン三つ星のシェフに「秘伝のレシピを出版して」とお願いしても書いてくれないでしょう。
読みたがる人は多いでしょうが、それを公開してしまったら皆に真似されてしまう。
だから、出版して公開することはせず自分だけのものとして大事にとっておくわけです。
また、本当のプロのスキルなら、出版したところで真似できないので、本にされません。例えば書道や体術のように実技が伴うものは、イラスト付きの本にしてもなかなか伝わらなかったりします。
一子相伝の必殺拳法をテキスト形式で分かりやすくお伝えする、なんて成り立たないのです。
従って実は、世の中に出回っている本には、意外と素人に毛が生えた人が書いた本も多いのです。
一般の人でも「読んで分かるもの」だけが出版される。
伝わらなければ売れませんし、売れなければ意味がありませんから、必然的に、出版されるものは読んで分かるレベルのものになります。
読んだ読者が「自分にもできそう!」と思ってくれるレベルの本が多く出回るのです。
材料を揃えるだけで大変そうな三つ星シェフの秘伝レシピではなく、材料を混ぜ5分チンするだけでそこそこ美味しい簡単料理。
熟練職人の0.01ミリではなく、ご家庭にある工具で「だいたい5センチくらい」の日曜大工。ちょっと目からウロコだけど、日常生活をはみださない範囲。
こういうレベルのものなら、著者はプロ中のプロである必要は全くありません。
むしろそこそこ上手いアマチュアや、中くらいのプロが、ご近所や友人に教える感覚で書いたほうが分かりやすかったりする訳です。
結局、商業で売れるというのは、プロだから、本物だからという訳ではありません。
むしろ、レンジでチンの料理本などという、プロの料理人なら顔をしかめるようなものが売れるのが商業出版の世界なのです。
こういうレベルなら自分でも書ける分野があるはずですよね。