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本出版の方法 持ち込み商業出版 自費出版 どれくらい儲かるのか?出版社の情報から書き方までまとめました!

作家の年収アップは可能?難しい?「小説家になろう」の作家やライトノベル作家の年収はどれくらい?

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作家を目指されている方々が気になるのは・・・やはり年収?

小説家や文芸作家として活躍したい!と思っている方は多いですが、そんな方々が皆検索されているのは「作家の年収」。

実際に検索エンジンの予測変換機能を見ても、「年収」「印税」「儲け」「収入」などのキーワードが上位に上がってきます。

実際のところ、印税だけで生計を立てている作家はどれくらいいるのでしょうか。

また、小説・ライトノベル・文芸書などの作家の年収はどれくらいなのでしょうか?

他にも印税以外の収入源や、年収アップの方法などを調べてみました。

参考:小説は一人称がおすすめ?三人称は難しい?その違いと書き方を解説!

印税だけで生計を立てている作家はどれくらいいるのか?

印税だけで生計を立てている作家数は、実は調べることが困難です。

なぜなら現在では本のジャンルが非常に多様化しており、全ジャンルの売上データを取得すること自体が困難になっているからです。

加えて、実は多くの作家が印税以外の収入も得ていますし(代表的な例でいうと、漫画「ワンピース」の著者尾田栄一郎氏は映画化やアニメ化による権利収入、グッズの発売による版権収入などを得ていますし、ビジネス書の著者の多くは出版の目的が自分の本業での収益増加だったりします)、そもそも印税だけで生計を立てようとしている作家の数も不明瞭です。

また、幾ら以上稼いでいたら印税だけで生計を立てられるというのかも人によって異なります。(200万円?? 400万円?? 600万円?? 1,000万円??)

参考までに、一説では、印税だけで生計を立てられるのは1万人とも言われています。(後述する数値から、やや多いですが割と妥当な推定かと思います。)

しかし2013年のテレビ番組「情熱大陸」では、作家の林真理子氏が『本の印税と原稿料だけで食べているのは、日本に50人だけ』と発言するなど、実際のところは不明です。

参考:自費出版の費用はいくらかかるのか。各社比較から予算の適正相場や目安を把握しよう!

年収600万円以上の収入がある作家はどれくらいいるのか?

結論からいうと、これも何人が年収600万円以上稼いでいるのかはお答え出来ません

印税以外の収入で各作家が幾ら稼いでいるかが不明のため、推測する根拠にかけるからです。

そこでここでは観点を変えて、年収600万円を印税収入だけで賄うには何冊本を売れば良いかを考えてみましょう。

■ライトノベルの場合:
600円/冊で印税を8%とすると、年収600万円になるためには年間12万5,000冊を売り上げる必要があります。

ライトノベルの場合シリーズものも多いでしょうから、年間に1巻から5巻まで発売したとすると、1巻あたり平均25,000冊売れている必要があります。

大ヒット作品とまではいかなくとも、ラノベの初版が約10,000部であることを考えると、2回は増刷がかかる必要があるので、ある程度のヒット作と言っても良さそうです。

■ビジネス書の場合:
1,500円/冊で印税を10%とすると、年収600万円になるためには年間40,000冊を売り上げる必要があります。ビジネス書で4万冊というと結構なヒット作品です。(尤も、上記の通り、ビジネス書は印税収入以外のところに収益ポイントを置いているため、極論発行部数1,000冊で年収6,000万円ということもあります)

上記の例から見ると、そこそこのヒット作を年1回出している著者であれば、印税だけで年収600万円を達成していると言えそうです。

日本の年間書籍発行数が約8万本であることを考えると、感覚値ですが、うち3,000本くらいが印税だけで年収600万円を達成しているかと思います。

不可能ではないですが、やはり印税だけで年収600万を稼ぐのはハードルが高いことが分かります。

参考までに、下記に一般的な売上数の書籍の著者印税を記載してみましたので、こちらも参考にしてください。

KEY ジャンル 参考発行部数 単価 印税率 著者印税 今後の展開
1 ビジネス書 10,000部 1,500円 10% 1,500,000円 セミナー、講演会、自己ビジネスでの売り上げUP
2 自己啓発 10,000部 1,500円 10% 1,500,000円 セミナー、講演会、自己ビジネスでの売り上げUP
3 ライトノベル 20,000部 700円 10% 1,400,000円 次作品のオファー、アニメ化、コミック化、映画化、グッズ販売
4 エッセイ 8,000部 1,000円 10% 800,000円 セミナー、講演会
5 小説(文芸書) 10,000部 700円 10% 700,000円 次作品のオファー、講演会
6 電子書籍 500部 1,000円 50% 250,000円 ※ジャンルによって展開は異なる
7 絵本 3,000部 1,500円 5% 225,000円 次作品のオファー
8 漫画(コミック) 8,000部 500円 5% 200,000円 アニメ化、映画化、グッズ販売

参考:本を出版するとどれくらいの収入になるの?

売れている作家の儲けはいくら?(作家の年収ランキングより)

参考までに、有名作家の年収を調べてみました。

まず海外版ですが、過去のフォーブスの長者番付を見ると、2013年に「フィフティ・シェイズ」シリーズの著者であるE.L.ジェイムズ9,500万ドル(当時のレートで約90億円)の収入があったようです。(ソース

また、日本人の有名作家では、2004年度宮部みゆきさんが6,344万円村上春樹さんが8,690万円の年収であったことが確認出来ます。(ソースは2004年度高額納税者公示制度。高額納税者公示制度は2005年度から廃止のため以降データがありません。2004年当時から本の年間売上冊数は大きく変化していないため、現在のトップ作家の収入を推定するのに役立つ情報です)

2004年当時はインターネットもさほど発展しておらず、映画やドラマ以外は印税以外に小説家が大きく収入を得る収入源もないだろうと推測出来ますので、おそらく上記収入の7-8割は印税収入なのではないでしょうか、、、と言いたいところですが、実際に彼らの発行部数から逆算するとここまで年収が低いのはおかしいので、恐らく彼らは税金対策を行なっていると思います(個人的所感)。

実質的年収は十数億円程度と見るのが正しいと思います。(個人的所感)

参考までに『火花』で有名になった又吉直樹さんの本の売上を、印税率10%で計算すると、1,300円 × 253万部 × 10% = 3億2,890万円

宮部みゆきさんや村上春樹さんの収入がこれより少ないことは考えづらいので、大方私の推測であっているかと思います。

参考:自費出版の印税はどのくらい?商業出版とどっちが得なのか?損益分岐点は何冊?

コラム:長い下積み時代を経て大成した作家もいる

ここまで大きく稼いでいる作家をご紹介してきましたが、長い下積み時代を経て作家デビューした人もいます。

「怪物の木こり」このミステリーがすごい!』大賞を受賞した作家の倉井眉介さんはそのひとりです。

彼は大学を卒業して以降の20代はバイト生活だったそうで、当時の収入は月収10万円、年収は100万円ほどだったそう。

しかし30代になって『このミス!』大賞を受賞したことにより、一気に賞金1200万円を得て有名小説家の仲間入り、年収も当然1000万円越えです。

2023年12月には「怪物の木こり」が映画化もされるそうで、メディア収入は非常に大きなものとなるでしょう。

有名作家は全員が最初からすごい成果を残しているわけではありません。

倉井眉介さんのように長い努力と下積み時代のおかげで年収1000万を超える作家へと至った人もいます。

小説家になろう作家やラノベ作家はどれほど稼いでいるのか?

まずはトップレベルの販売部数を誇るライトノベル作品で計算をしてみます。

ライトノベルの販売部数ランキング上位10作品の著者印税を計算してみました。(印税10%で計算)

<ラノベ販売部数ランキング>

KEY タイトル 部数 単価 売上 著者印税
1 とある魔術の禁書目録 3,000万部 616円 184.80億円 18.48億円
2 ソードアート・オンライン 2,200万部 399円 87.78億円 8.78億円
3 涼宮ハルヒ シリーズ 2,000万部 562円 112.40億円 11.24億円
4 スレイヤーズ 2,000万部 648円 129.60億円 12.96億円
5 フルメタル・パニック 1,100万部 670円 73.70億円 7.37億円
6 灼眼のシャナ 1,080万部 637円 68.80億円 6.88億円
7 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 1,000万部 670円 67.00億円 6.70億円
8 魔術士オーフェン 1,000万部 1,620円 162.00億円 16.20億円
9 ロードス島戦記 1,000万部 691円 69.10億円 6.91億円
10 フォーチュン・クエスト 1,000万部 1,146円 114.60億円 11.46億円

*販売部数はインターネット上の情報より私が類推しただけのため不正確です。ざっくりの参考にしてください。

詳しくは分かりませんが、これらの作品はアニメ化、マンガ化、ゲーム化、映画化、グッズ販売などによる収入の方が大きいでしょうから、これも感覚値ですが彼らのようなトップオブトップの作家は、印税収入の2-5倍ほどの収益があると見ると良いでしょう。

またメディア化がハマると、原作を購入してくれるファンも大幅に増えますので、さらに加速度的に収入が増えていくことが想定されます。

また、中堅クラスで考えるのであれば、先ほど推定した年収600万円の作家を指標にすると良いでしょう。(本1冊に対し25,000部の売上イメージ)

ただしこのクラスであれば、マンガUPなどのwebコミックスに連載されるなどもあり得ます。

例えばそこで作品が読まれることで、書籍とは別に「印税的配当」を得られるため、継続的に配当を得られる場合もあります。

Webは書籍と違い原価がかからないので、本の印税よりも部が良いことが多く、実質的年収は600万円をはるかに超越している可能性があります。

参考:書籍が何冊以上売れたら大ヒットか。何万部からベストセラーか。【日本、世界のベストセラーまとめもご紹介】

作家の年収アップは可能か?難しいのか?作家の印税以外の収入源の内訳は?

ここまで見てきてわかる通り、作家の年収アップには、Webマンガの掲載やメディア化(アニメ、マンガ、ドラマ、映画、ゲームなど)による権利料収入という手段があることが分かりました。

しかしこれらの手段は、前提として出版した本がヒットする必要があります。

ヒットしていない書籍の著者が年収アップすることは可能なのでしょうか。

結論から言うと、個人的には可能だと思います。

著作自体から収入を得なければいけないのであれば難しいかもしれませんが、視点を変えて、小説家を行う上で身に付いたスキルセットを販売すると考えればどうでしょうか。

例えば小説の書き方を教える「小説コンサル」を行う、それをメルマガで行う、情報商材として販売するなどの手法もあります。

小説を書いた経験を元に、小説の書き方という本を出版する手もあるかもしれません。

また、売れなかった原稿自体をランサーズなどの外注サイトで販売するという手もあります。

実際、売れない小説家は印税収入で数十万〜百万円程度しか稼げず、収入の内訳のほとんどが本以外の原稿料などの外部収入だった、ということも往々にしてあるようです。

収入を得ることだけを考えれば実は手段は色々あり、印税収入と組み合わせて年収をあげることは可能です。

視野を狭めず色々な可能性を模索してみると、良い結果を得られるかもしれません。頑張ってください。

参考:出版社にあなたの本を出したいと思わせるにはどうしたら良いのか?

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