小説の対象読者の決め方とペルソナ設定(初心者向け小説の書き方の基本とルール)
ペルソナ設定はなぜ重要か?
小説をこれから書こうと考えている小説作家初心者の方々が知りたいことは多くあると思いますが、現段階では分からないことだらけでしょう。
そこで、小説執筆の基本入門スキルを各記事で紹介していきますが、この記事では「ペルソナ設定」をご紹介します。
ペルソナ設定とは、対象読者を決めておくことです。
小説を書くと聞くと、自分の表現したい内容をアイデアが浮かぶままに好きに書くことを考える方も多いのですが、それでは手に取ってもらえる小説にはなりません。
小説は相互のやり取りです。つまり、書き手がいれば読み手がいるということです。
従って、その小説を読者がなぜ手に取るのかを考えながら執筆することで、結果的に読者が手に取りたい小説を書くことが出来ます。
ペルソナ設定を行わずに小説を書くのは、絶対にやってはいけないことです。
趣味の域を脱したい場合、まずはこのスキルを身につけていきましょう。
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読者層を絞って小説を書くことの重要性
読者の立場になって考えた場合、どういう基準で読む本を選ぶかを考えてみましょう。
小説だけでも純文学、大衆文学、ライトノベル(ラノベ)などさまざまなカテゴリーがあります。
ジャンルとしてみても、流行の異世界転生小説や恋愛小説、SF小説やミステリー、ホラーなど、単純に小説とひとくくりにはできないほどに分かれています。
プラットフォームも紙媒体の本の場合もあれば、ケータイ(ガラケー)、スマホ(タブレット)などの携帯端末の場合もあります。
Webの場合は小説家になろうやエブリスタ、カクヨムなど様々な媒体があり、それぞれ微細であれ読者層も違います。
だからこそ小説を書くときにまず決めなければならないのは、対象読者なのです。
どの世界観でどういったストーリーを好む読者か。
また性別や年齢層は?
このあたりが曖昧であったり大雑把すぎたりすると、書き進めていく方向性が一貫性のないものになりがちです。
恋愛小説を書くとしても、二十代後半で社会人経験が豊富なキャラがストーリーを動かしていく小説と、まだやっと初恋を経験したところから始まる中高生というキャラが主役の小説では、読者が違いますね。
SFやホラー、ファンタジーも同様で、キャラだけではなく作中で起きる現象や事件、根本的な世界観まで、どのような読者を対象に書くかを絞ることで、書き進める内容は大きく変わってきます。
誰にでも読める小説を目指すのは、一口で言えば間口を広く開けているようですが、逆に読みにくい小説が出来上がる可能性は高くなります。
テーマも登場人物も文体も、合っている読者と合わない読者がいるのは当然です。
多くの人に読んでもらいたいという気持ちが強いなら、ある一定の層に絞ってその中でより多くの読者を獲得するよう的を絞ったほうが良いでしょう。
どの属性の読者をも意識して、逆に意識せず、として書いていると、カテゴライズの際にどういった小説かを理解されにくいものになります。
誰に読ませるか?まずはそれを決めておきましょう。
■最低限決めておくべき内容;
・主にターゲットとするのは男性か女性か
・どれぐらいの年齢層に読んでほしいのか
・社会人や学生、もしくは珍しい属性の読者に絞ってみるか
・純文学や一般大衆小説、ライトノベルのうち何を読みたい人か
大まかにはこれだけを最低限想定しておけばいいでしょう。
例えば児童文学を好んで読む大人もいます。ジェンダーにこだわらず敷居を超えて少年漫画や少女漫画を読む人もいます。
囲いを作る必要はありませんが、「自分が読みたいのはこういう小説だ」と明確な目的を持っている人も、「何を読みたいかを迷っていて何となくこのジャンルにしよう」と探している人も、実は明確にペルソナを設定して書いた小説に対しての方がたどり着きやすいのです。
また筆者の観点から見ても、「こういう人が読み手として多い作品になるのではないか」と意識して書くことができるため、ある程度自分の中で読者のペルソナ設定をしておくと、書き進める目線が明確になり、本の執筆自体も容易になります。
具体的なペルソナ設定のやり方の例
では実際のペルソナ設定のやり方を解説していきましょう。
下記が実際に仮の読者像を想定してみた具体例です。
■私が書きたい小説の対象読者の要素(ペルソナ設定):
・名前:高橋悠真
・性別:男
・年齢:16歳
・職業:高校生(私立共学進学校)
・収入:月のお小遣い6,000円のみ(バイトはしていない)
・家族構成:一般会社員の父、パートの母、弟(中学生)、妹(中学生)の5人家族
・居住地:埼玉県
・趣味:バスケ、Tiktok
・休日の過ごし方:服を買いにいく(池袋・渋谷)
・好きな雑誌:MEN’S NONNO
・悩み・心配事:好きな子とうまく話せない
単に「男子高校生向け」と決めて小説を書くよりも、上記のように詳細にペルソナを設定した方が、小説自体も一貫性を持って書きやすくなります。
たとえば学校に行けなくなって悩んでいる女子高生を登場人物として書く際に、「同じ年齢層の恋愛下手な男子高生に好ましいと思われるように設定してみよう」「きれい目カジュアルが好きな明るい男子学生が好きそうな女の子にしよう」などと考えることで、読者から見て魅力的な登場人物像を具体的に推敲することが可能になります。
例えばもしペルソナ対象の読者像が40歳の女性主婦なのであれば、教師や親の視点から見て受けの良い女子高生の性格を考えたり、教師や親が物語に入り込む登場人物設定を考える良いきっかけとなります。
その女子高生が学校に行けなくなっている理由も、シンプルにいじめであることが原因か、学校で起きている怪現象におびえていることか、登下校中にストーカーにつきまとわれているか、さまざまなバリエーションがあるでしょう。
これも対象読者に応じてどのような設定にするか、どの一面を深く掘り下げるかなどが変わりうるものです。
このように架空読者を設定し、その読者にターゲットを絞って書き進めると、ペルソナ設定をした読者に近い人の興味を引くことが容易になります。
読者は登場人物の中に、共感するものを得ようとするものだからです。
その共感ポイントは、性格であったり、行動であったり、将来目指すものであったり、自分の間違いに気づくきっかけが何なのかであったり、人により様々。
そのため、小説の方向性を決めるために、どのような人がメインの読者になるかを決めることがまずなによりも重要になるのです。
そのため誰にでも喜ばれるような小説の設定をするのではなく、徹底して掘り下げた特定の読者を狙うことをまずは心がけてみてください。