自費出版と同人誌の違いは何?それぞれのメリットと注意点を解説!
「自費出版」と「同人誌」とは?
■ 自費出版
著者や出版者が自身の作品を制作し、出版するために費用を負担する方法
■ 同人誌
ファンやアマチュアのアーティストが、既存のキャラやストーリーを用いて創作物を制作し、コピー誌として配布または販売する手法
具体的に例をあげると、印刷所に直接製本を依頼し、ISBNコード(バーコード)をつけない状態で製本されたものを「同人誌」と呼ぶことがあります。
同人誌について掘り下げると、その言葉通り「同好の人が集まって資金を出し合い、制作する本」のこと。
古くは明治時代、文学界の中で流行しており、夏目漱石や正岡子規などが参加した「ホトトギス」もこの同人誌のひとつです。
今では主に、版権もの(マンガやアニメ・小説など)のファンによる二次創作・パロディ作品、またアマチュアの作家の創作の場とされていることが多く、
「同人活動」「同人誌」と呼ばれるものは、一般的にはこちらの意味で使われることがほとんどです。
メリットは製作者が自由に表現できることです。一方でオマージュという点もあり商業にはあまり向かないというデメリットもあります。
一方で自費出版は商業的な成功を目的とするケースが多いです。
また自費出版も出版社による制約はあまり受けないため、自由に表現をすることができます。
デメリットを上げるとすれば、同人誌より比較的高額で数十万円~100万円以上のまとまったお金が必要です。
自費出版と同人誌の制作プロセスの違い
自費出版の制作プロセスは、通常の出版とほとんど同じです。
著者は自身の作品を書き、編集し、カバーデザインを制作します。
出版社を介さないケースでは、印刷や電子書籍のフォーマット化を行い、マーケティングまで自分でやる場合もあります。
一方で同人誌の制作プロセスは、独自の文化とプロセスを持っています。
アマチュアのアーティストが、コピー誌として同人誌を作成、また印刷会社に依頼し、コミケなどの同人誌イベントで配布・販売することが一般的です。(後程詳しく説明します)
唯一の注意点として、制作段階では、既存のキャラクターやストーリーを扱う際には著作権法に配慮しなければなりません。
あまりにも有名になりすぎると本来の著者から訴えれられる可能性もあります。
コラム:同人誌の主戦場
同人誌はほとんどのものがコミケ(同人誌即売会)と呼ばれるイベントで販売されています。
「コミケ」という言葉は今はかなりメジャーになり、大型のイベント時にはニュースにもなっているので、知っている人も多いかもしれませんね。
実際に、2016年夏のコミックマーケットの累計入場者数は50万人を超えたと言われており、日本経済から見ても非常に大きな活動のひとつとなっています。
また、そういったいわゆる「オタクの活動」の他、ポエムや詩、歌集などの文学ジャンルを支援する文学フリマと呼ばれているイベントもあります。
残念ながら、こうした形態で作られた「同人誌」はジュンク堂や紀伊国屋など、大小問わず通常の書店に並ぶことはほとんど不可能です(バーコードがついていないので、流通できません)
身内に配りたい、何かの記念に作っておきたい、という方には非常にオススメできる方法です。
自費出版と同人誌は著作権の観点で大きく異なる
一般的に自費出版の著者は作品の著作権を持っています。
すなわち商業的な利益を得る権利がありますし、著作権侵害された場合に法的に保護される立場です。
一方で同人誌は複雑な著作権の問題に直面します。
なぜなら二次創作ですから、正当な著作権者である原作者が存在し、彼らの同意なしに作品を世に出せば法的に訴えれられる可能性があります。
(今の日本では同人誌が流行している点もあり、グレーゾーンで成り立っている部分もあります)
両者は法的な立場で考えたときに、訴える側、訴えられる側という大きな違いがあるのです。
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印刷所に依頼して作る本や同人誌のデメリットは?
自費出版の中でも、特に出版社を介さない印刷会社へ印刷・製本を依頼する場合は、
「すべてを自分でやらなければいけない」ということがデメリットとして挙げられるでしょう。
出版社に依頼した自費出版や企画出版の場合は、本文・表紙のデザインにも専門の担当者がいるので、作者自身は「原稿を書く」ということだけに集中していられます。
しかし、同人誌を含む「印刷所に製本を依頼する」というケースになると、料金は格安になりますが、その分本文のデータ・表紙のデータをすべて自分で作成しなければなりません。
本文のデータはMicrosoftWordで何とかなると思いますが、それでもある程度ソフトウェアに対する知識がなければいけません。
表紙に至っては、デザインセンスとソフトウェア(有名なものとしてはAdobePhotoshopやIllustratorなど)が必要になってきます。
ソフトウェア自体も高額なものが多く、また、スキルも必要です。
しかしこれらはプロの現場でも使われているソフトなので、難易度は高めです。
そういったデザインが苦手といった人のために「表紙をデザインします」というサービスを提供している印刷所や、表紙のデザインだけを請け負ってくれるデザイナーもいます。
どちらにしてもある程度パソコンやソフトウェアに関する知識が必要とされてきますので、「パソコンはとても苦手だ」という人には、少しだけハードルが高いかもしれません。
まとめ
自費出版と同人誌では目的やメリットで違いがある
制作プロセスや販売方法も大きな違いがあり、同人誌はよくコミケで売られる
同人誌を志す場合は著作権周りに注意が必要
いかがでしたでしょうか。
どちらの方法もそれぞれの魅力がありますので、自分の好みや目標に沿って最適な出版方法を選びましょう。
あなたの創作がより良いものとなることを願っています。