小説の登場人物設定とプロットの作成方法(初心者向け小説の書き方の基本とルール)
対象読者を決めたら、登場人物とプロットを設定しよう 〜その手順について〜
小説をこれから書こうと考えている小説作家初心者の方々が知りたいことは多くあると思いますが、現段階では分からないことだらけでしょう。
そんな方々のために、小説執筆の基本入門スキルを各記事で紹介しておりますが、その中でもこの記事では「登場人物設定」「プロットの作成(=物語の設計図の作成)」をご紹介します。
■前回分はこちら:
小説の面白さは「どんな登場人物によってどのようにストーリーが進んでいくか」によって面白さが左右されます。
従って「登場人物設定」と「プロット作成」を執筆前にしっかりしておくかどうかによって、軸がぶれない面白い小説になるかどうかが決まります。
なお、これらを最初に細かく設定しておくことで、脳内で情報が整理されるため、実際に小説を書き出した後に筆がサクサク進むメリットもあります。
登場人物設定(キャラ設定)
ワードやテキスト、エクセルなどを利用して一覧表を作ると登場人物設定の管理がしやすいです。
一覧表を確認しつつ、矛盾がないよう執筆を進めていくことができます。
■登場人物について決めておくべき設定の例:
・フルネーム(ふりがな付き)
・年齢(生年月日、故人の場合は没日も)
・学年や職業(時間が進む場合は高一から高三なども書いておく)
・基本的な性格(おとなしくて人見知り、快活でリーダー素質あり、など)
・その性格を裏付ける出来事など補足(リストラに遭って社会復帰が怖いなど)
・ペットがいる場合はその名前や性別、年齢も
自分の中で出来上がった登場人物は、小説執筆を進めていくうち、生きた人間として歩き始めます。
設定が薄いキャラクターのままで書き始めると、読者が感情移入しにくく共感を得られない登場人物になります。
身近な人をモデルにしてもいいし、まったくのオリジナルでもいいので、特徴をしっかり描写できるように前設定してから書き始めましょう。
たとえば登場人物が普段どのような生活をしているかを描写するにあたり、「好みではないピーマンをさりげなく夕食のおかずから箸で除ける」というしぐさを書き加えるとします。
その際に、登場人物がピーマンを食べられない偏食の一面、そしてなぜ嫌いになったかという些細な設定を作っておくことで、こんな可愛い側面があるんだなと一息ついてもらえることがあります。
このように、本筋に大きく関わってくることがなくても、登場人物設定をキャラクターを魅力的に表現するひとつの方法として考えると、書き手も読者も楽しめるのでおすすめです。
また個人的には、メインの登場人物には生年月日や死亡日時も設定しておくタイプなのですが、これは学生生活などを描写するときによい材料となる一方で、ミステリーを書く場合にも誕生日や死亡日時を利用したトリックが健在であることも理由としています。
登場人物設定についてはこちらの記事の項目「7.キャラクター設定と舞台設定」も参考にしてください。
参考:執筆作業に重要なアウトプットの3つのコツ 〜ストーリーテリングという手法〜
プロット作成(小説の全体図、設計図の作成)
プロットは小説を書くにあたっての設計図のようなものです。
プロット作成には、必ずこのようにしなければならないという手順はありません。
例えば、起承転結を大まかに設定するだけでも「プロット設定をした」ことになります。
しかしながら、小説を実際に執筆し始めてからスムーズに進められるように、ここではなるべく具体的かつ詳細なプロットを設定することをお勧めします。
少なくとも以下の部分は、小説全体の設計図として、確実に設定を詰めるようにしてください。
■絶対詰めるべき設定:
・メインとなる登場人物は誰か、サブ登場人物との関係は?
・世界観は?現代の日常を書くか別世界や違う時代を書くか
・この登場人物に何をさせたいのか読者に何を感じてほしいのか
・物語のテーマは?どこを楽しんでもらいたいか
参考:読み手が理解しやすいように文章の筋道、順番を考えて構成案を作ることの重要性
登場人物や世界設定は決めておいてから書くのが一般的です。
この段階でしっかり設定を詰めておけば、後々その場しのぎで設定を変更することも無くなりますし、詳細まで作り込まれたその世界観自体が読者を楽しませ、小説に厚みを持たせることが出来るというメリットもあります。
また設定をしっかり詰めることで、作品のどこに焦点を置いて書くべきかも明確になってきます。
ホラー作品なら異形の者が出てくる怖いシーンなのか、それが退散する解決のシーンなのか。
恋愛小説なら片思いが続く主人公の心理描写を読ませたいのか、悲恋で終わって立ち直る姿を見せたいのか。
プロットを設定せず執筆を進めてしまうと、どのシーンにも満遍なく重点を置いてしまいがちですが、設定をしっかり詰めることで、このようなミスも無くなります。
また、プロットを作成する手順で、自分の設定ミスや詰めの甘さに気付くこともあるでしょう。
この段階でミスに気付き、修正を繰り返すこと自体が自分の訓練・練習になり、結果徐々に作品の質も上がっていきます。
プロット作成を省いて小説を書くこと自体はルール違反という訳ではありませんが、小説執筆途中で修正点に気付くと、小説自体の設定に矛盾を生じさせ、一貫性が無くなり、方向性迷走が始まることにもなり兼ねません。
その意味でも、プロット作成は習慣づけておくほうが良いです。執筆を繰り返して小説作成に慣れていっても、この作業だけは外すことなく続けていくほうがいいでしょう。
恐らく慣れてくれば、登場人物設定やプロット作成自体を楽しめるようになってくる作家さんも多いです。
小説を作るための調味料を下準備していると考えて、丁寧に取り組んでみてください。