【就活生必見】出版関連用語集〜出版社社員が使う専門用語・業界用語を片っ端から説明します
本出版を考えている方々が中々第一歩を踏み出せない理由として、本出版に関する知識があまりにも少ないケースがあります。
人間は習慣の生き物ですから、自分が知っていること、慣れていることに関しては簡単に取り組めますが、こと全く知らない世界に飛び込むとなると、潜在意識が邪魔して腰が重くなってしまいます。
この記事では、出版社社員が出版業界で用いられる専門用語を「出版業界事情」を盛り込みながら解説します。
出版業界は専門用語や業界用語が多いので、事前に用語を見ておくだけでも心理的ハードルが下がると思います。
用語を知っておくことで出版に関する知識を得て、出版及び出版業界に対する無意識の抵抗感を取っ払うキッカケになれば幸いです。
参考:未経験から出版社の内定獲得?新卒でも採用される最強の就活メソッドを元外資コンサルが解説します【学歴がなくてもOK】
ISBN(あいえすびーえぬ)
国際的な書籍コード。ISBNで本を識別できる。International Standard Book Numberの略。
市販されている本には必ずついている。
赤字(あかじ)
出版業界での「赤字」といえば修正のこと。
小説家が「大量に赤字を入れられた」といった場合、編集者から大幅直しを指示されたことを意味する。
かつて紙の原稿に赤ペンで修正を入れたことが言葉の由来だが、電子メールで原稿をやりとりするようになっても「赤字」を使う人は多い。
アタリ(あたり)
本文における写真や図の位置を示す目印。
写真や図の大きさや、合致するための番号などを書き入れる。
後付け(あとづけ)
記事の構成要素のひとつ。
原稿の最終盤に置く、あとがきや索引などのこと。
糸かがり(いとかがり)
糸を使った本の綴じ方。
丈夫で開き心地がよい本になる。
色校正(いろこうせい)
校正作業のひとつで、出版物の白黒以外の色を校正すること。
カラーの出版物は、白黒の出版物より印刷に手間がかかる。
そのためカラー印刷では、写真やイラストなどのカラー部分だけを先に校正して確定してしまう。それだけで印刷作業を効率化することができる。
色校正が終わっても、カラー部分を移動させない範囲で、文字部分を修正することができる。
文字部分の校正が終了すると完全に校了し印刷に取りかかる。
奥付(おくづけ)
本の最終ページに置く本の基本情報。
書名、著者名、出版社名、印刷所名、発行年月日、ISBNなどを書く。
帯(おび)
本の外側に巻くタイプの紙製の広告。帯の内容は帯をつけた本のPRになる。
著名人による推薦文や本の特徴を言い表したキャッチコピーなどが並ぶ。
改段(かいだん)
記事の構成のひとつで、段落をあらためること。
改行後に1字下げて次の段落を始めること。
改丁(かいちょう)
原稿が複数の章で構成されているとき、新しい章を奇数ページから始めること。
読者に「新しい章が始まる」ことを印象付けることができる。
章の最終文字が奇数ページで終わっているときに改丁すると、その次のページの偶数ページは空白になり、情報が記載されていないページが本に含まれることになる。
階調(かいちょう)
画像やイラストにおける濃淡。
またはその変化していく調子のこと。
グラデーションとも呼ばれる。
囲み記事(かこみきじ)
新聞や雑誌において線で囲まれた記事のこと。
コラムとも呼ばれる。
かな詰め(かなづめ)
写植において、ひらがなカタカナの間隔を詰めて印字すること。
参考:大学生こそベストセラーを狙おう。普通の大学生こそベストセラーが出しやすい理由を解説します。
刊行(かんこう)
書籍などを印刷し世に出すこと。
キャプション(きゃぷしょん)
記事中の写真や図の簡単な解説文のこと。
雑誌などの場合、写真とキャプションだけで情報提供できれば読者の速読に貢献できる。
行間(ぎょうかん)
1:記事を本にしたときの、ある文章の列と隣の文章の列の間の距離。行間を狭くするとページ数を増やさずに情報量を増やすことができるが読みにくくなる。行間が広いと同じ情報量を載せるためにページ数を増やさなければならずコスト高になるが読みやすくなる。
2:文字に書かれていない情報のこと。「行間を読む」とは文字から著者の意図や気持ちを想像したり推測したりすること。
禁則処理(きんそくしょり)
文章の体裁のルール。
例えば、句読点を行頭に持ってこない、約物を半角にする、など。
ゲラ(げら)
1:印刷所で組み版をのせて置く、ふちの浅い木箱。
2:「ゲラ刷り」の略語。
書籍を出版する前の校正に用いる印刷物のことを出版界ではゲラという。
校了(こうりょう)
校正が完了し、印刷出来る状況になること。
CTP(しーてぃーぴー)
Computer To Plateの略。
ページレイアウトソフトなどで作成したものから直接刷版を焼きつける手法。
私家版(しかばん)
販売を目的としない本。
「自費出版」の本には、販売を目的とするものとしないものの両方があるが、私家版の本は基本的に非売本である。
著名人や権力者の私家版本が一度出回ると、高値で取引されることもある。
重版(じゅうはん)
出版社の想定以上に本が売れて版が重なること。「もう一度刷る」という意味もある。
本は販売冊数を予想して最初に印刷・製本する冊数を決める。最初に製本した本のことを初版本という。
重版出来(じゅうはんしゅったい)/ 増刷出来(ぞうさつしゅったい)
出版物の初版と同じ版を、全く同じ判型・装丁にて再度刷りなおすこと。
重版ではなく増刷の場合は増刷出来という。
→重版と増刷の違いは?(記事の後半に記載があります)
序文(じょぶん)
記事の構成のひとつで、冒頭に置かれる文章のこと。
記事全体の要約を記したり、記事を執筆した経緯や背景などを書いたりする。読者を惹きつける重要な部分。
責了(せきりょう)
1:校正を終了すること。
2:印刷所での校正を依頼すること。
装幀・装丁(そうてい)
本のデザイン。
すべての本は紙を束ねたものでしかないが、表紙に印象的なイラストを載せたり、タイトルの文字をデザインしたりすることで個性を出すことができる。
名著やベストセラー本の装幀は真似されることもある。芸術的な評価を得た装幀も少なくない。
台割・台割り・台割表(だいわり)
雑誌や書籍など、ページ物の印刷物のレイアウトを一覧にした表のこと。
本の設計図と考えるとわかりやすい。
なお、一度に印刷するページのまとまりのことを台と呼ぶ。
この台を印刷物1冊分割り当てた表なので、台割表。
断裁(だんさい)
本を裁断すること。
印刷時に本の形を整えるために余白を切り落とすことを断裁という場合もある。
しかし、多くの場合、返本された本を廃棄処分する際に、その本が再度利用されないよう、読めなくなるように切り落とすことを断裁という場合が多い。
束(つか)
本の厚さのこと。
付物・付き物(つきもの)
出版物に差し込まれているメインコンテンツ以外のものの総称。
通常、本のカバー、帯紙、外箱、売上げカード、読者カード、広告類などを付き物という。
文脈によっては、表紙、オビ、見返し、扉絵など、本文以外の部分まで含めて付物という場合もある。
DTP(でぃーてぃーぴー)
本の体裁をつくるコンピュータソフト。Desk Top Publishingの略。
本の各ページは、活字や写真や図やイラストなどで構成されているが、DTPを使えばこれらの配置をコンピュータで処理できるので、作業効率が高まり修正も容易になる。
トンボ(とんぼ)
印刷や製本の際に用いる指標。
泣き別れ(なきわかれ)
本来ひとかたまりであるべき見出しや単語が分かれて、複数の段落やページにまたがること。
入稿(にゅうこう)
原稿を次工程の担当者に渡すこと。
著者やイラストレーター、カメラマンからみると、編集者が入稿先となる。
編集者からみると、印刷会社が入稿先となる。
延勘・延勘定(のべかん、のべかんじょう)
支払いを何ヶ月か先にすること。
書店周りにて用いられる支払い条件のひとつ。
通常書店の仕入れは出版社または取次に発注して行われるが、この支払いが高額な場合に支払いを先延ばしにすることがある。
三ヶ月延勘する場合は「三延(さんのべ)」といったりもする。
ノンブル(のんぶる)
ページ番号を表す出版用語。
通常書籍の右下または左下にページ番号がふってあることが多いが、これをノンブルと呼ぶ。
柱(はしら)
書籍や雑誌のような冊子形式の印刷物では、ページのメインコンテンツの周囲(つまり、各ページの余白部分)に小さく本のタイトルや現在の章、現在のページ数などが記載してある。
この余白に書き込まれている各要素の総称を柱という。
文体(ぶんたい)
1:文章の様式。
2:著者の文章スタイルのことで、文章の文字の直接的な意味以上に著者の心情を伝えることができる。
例えばこれまで「私」を一人称に使っていた小説家が、ある作品で「僕」を使うようになると、読者は「文体が変わった」などと感じる。
また小説には小説の文体があり、雑誌には雑誌の文体があり、新聞には新聞の文体がある、とされている。
編集(へんしゅう)
編集者が本を企画して、著者や記者やイラストレーターやカメラマンに本を構成する素材を発注すること。
また、集まった素材を本の体裁に整える作業のこと。
「編集された本」といった場合、著者の意図とは関係なく編集者が自身の編集権限内で、または編集権限を逸脱して内容を変えた本、というニュアンスがある。
「本は著者ではなく編集者と編集長がつくっている」という人もいるほど、本づくりにおける編集の意味は重い。
「編集方針」は本づくりの絶対的なルールである。
ポイント(ぽいんと)
出版業界の「ポイント」は文字の大きさのこと。
パソコンの文章ソフトでも文字の大きさの単位として使われている。
ラフ(らふ)
おおまかな下書きのこと。