こんなテーマを編集者は待ち望んでいる!出版希望者に知って欲しい面白いテーマの特徴3選
執筆素人さんの本はたったの1%!
私はかつて、地方の小さな出版社で編集者をしていました。
そのときの経験から、本づくりには大きく次の3つがあると思っています。
・著名な作家の本をつくる
・編集者が本の企画をして執筆者を探す
・執筆の素人からの持ち込み企画を本にする
私の編集者だったころの仕事の比率は、著名な作家の本30%、編集者の企画本69%、執筆素人さんの本1%でした。
しかし執筆素人さんが作成する企画書には「あなどれない」ものがたくさんありました。
「病気体験」はどれも読ませた:
本の持ち込み企画のなかで私が好きだったのは「病気体験」を書いたものでした。
これは同僚の編集者たちも「読み応えがある」と言っていました。
病気体験の文章には悲惨なエピソードが多く含まれているのですが、それよりも「生きたい」という気持ちのほうが伝わってくるからです。
人というのはなぜか、「痛い、つらい、死にたい」という弱音を吐ききってしまうと、人生に対して前向きになるようです。
当時の私の上司、つまり編集長は「病気の体験を記録して本にまとめたいと思える人は、生に強い興味を持っているんだよ」と言っていましたが、そうなのでしょう。
「旅行の話」と「趣味の話」はつまらないものと面白ものが両極端:
自分の趣味について本にしたいという方も結構いました。旅行記を本にしたいという人もいました。
しかし執筆素人さんがつくる趣味・旅の本の企画書は、つまらないものと面白いものが両極端でした。
趣味や旅行の話がつまらなくなるのは、自分が興奮しすぎてしまっているからです。
そういった人の文章は、「楽しいんですよね、これ。ね、面白そうでしょ」としか書かれていないのです。。
一方、趣味や旅の話を面白く書ける人は「ぜひあなたにもやってみてほしい」という気持ちがあるのです。だから、その趣味や旅の始め方や、道具のそろえ方、ルール、ルートなどの説明が丁寧なのです。
本づくりは、人に何かを伝える行為なので、自分が興奮しているばかりで読者を置き去りにしてはいけないのですね。
まとめ〜編集者は世の中を薄く広く知っています:
編集者が執筆素人さんの企画書や文章に期待することは「自分の知らない世界を教えてもらう」ことです。
編集者は仕事柄、世の中のことを薄く広くとらえようとします。
編集者は「どの読者に刺さるか」という視点で仕事を進めていかなければならないので、本づくりではまず、すべての読者層を概観します。
だから編集者は、すべてのことを知りたいのです。その代わり1つの出来事を深掘りすることを犠牲にしなければならいのです。
しかしあなたは1つのことを深掘りしてください。
あなたがこれから出版社に送るデモ原稿や出版企画書をつくるとき、編集者に「こんな世界があるなんて知りませんでした」と言わせるつもりで執筆してみてください。
編集者は自分が知らないことは「読者も知らないはずだ」と思います。読者が知らない情報は十分、本にする価値があります。