キャラクターとストーリーの動かし方(初心者向け小説の書き方の基本とルール)
自分が魅力的だと思っている登場人物は、読者にとっても魅力的だろうか?
小説を書くことを目的にして、これから執筆に入ろうとしている多くの人が、より知りたいと思っているのは、どういう小説が面白いのか、どう書けば面白い小説になるのか、という点ではないでしょうか。
結論からいえば、魅力的な登場人物を作り、そのキャラクター性でストーリーを動かしていく、こういった小説が読者を惹きつけます。
しかしこれは言うは易しです。
実際、自分が好きなキャラクター想定で、大勢の登場人物を設定して、これが面白いだろうと書いてみた結果、かなりの不評だった、こういうことはよくあります。
そこには好みの問題も横たわっていますから、仕方がないことではあります。
ただ、自分が魅力的と思っている登場人物は、多くの人にとって本当に魅力があったのかどうか、一歩下がって考えてみる必要があります。
■「初心者向け小説の書き方の基本とルール」の前回までの記事
③小説は一人称がおすすめ?三人称は難しい?その違いと書き方を解説!>>
小説のターゲット読者に共感される「短所」や「癖」を登場人物に盛り込む。
どのようなキャラ設定をすれば読者が興味を持ってくれるか、これは小説ジャンルや、読者の属性により大きく変わってきます。
女子高生を主人公として小説を作るとしても、ライトノベルと純文学ではそのキャラ設定に違いが出てくるのは当然ですね。
主人公を中心とした登場人物が、ストーリーの進行役となるのが基本であり、その行動力が作品イメージを左右しますが、では行動力抜群でリーダー的立ち位置の主人公なら小説として成功するかといえば、必ずしもそうとはいえません。
読者は登場人物の中に、自分と同じものを見出したいと感じたり、その成長過程を見ることで共感したりします。
常に人の前に立って光り輝いている、前向きで怖いもの知らずの登場人物に、自分を反映することができない読者にとっては、そんなキャラクターがぐいぐいと周囲を引っ張っていくことで最後はめでたしめでたし、となる小説にはリアリティを感じることができません。
逆に、何もせずに人任せで終わるだけの主人公には、「もう、イライラするなあ!」と思ってしまう読者も多いでしょう。
極端にキャラ設定を振り切ってしまうのではなく、登場人物には長所も短所も設定して、揺れ動かしながら成長させるというパターンが、共感を得やすいでしょう。
非の打ちどころがない設定にする場合には、それが理由で欠如している人間性や、逆に人間臭く感じる癖などを盛りこんでおきます。
またそれらの長所や短所、欠如している人間性などが、この小説のペルソナが共感する内容になっているかどうかも重要です。
■ペルソナ設定については下記記事を参考:
キャラクターとストーリーを動かす!
主役をはじめ登場人物に何をさせることで、このストーリーは違和感なく進んでいくか、周りの登場人物たちも不自然に感じさせずに絡めることができているか、最後に主人公がすべき行動や読者に訴えかける言葉は何か、これがストーリーを動かしていきます。
ストーリーを決め、あらすじを書いて、登場人物設定をする、こういった前準備をして小説作成に入るのですが、小説世界を破綻させることがない登場人物を配置することが大切になります。
主人公、それを補佐する立ち位置や、敵対する登場人物、ストーリーには大きく関わらないものの登場させておくことで花を添える小道具的な存在、すべてを上手にストーリーの中に放り込むことで、人物が彩りよく動く小説になっていきます。
物語を動かすのは脇役の立ち位置にいる登場人物でもいいのです。
後ろ向きな生き方をしている主人公を後目に、行動力ある脇役たちがストーリーを大きく動かしていくという展開でもかまいません。
ただし、その場合には、そんな周囲の人々を見ている主人公の心理描写に変化を与えることと、最後にケリをつけるのが主人公であるという約束部分を外してはいけないことを忘れないようにしてください。
これが、主人公の立ち位置です。
主人公はストーリーを動かして決着をつけるとともに、自分も視野を広げて成長していく、これを基本としておきましょう。
登場人物が一人、二人と増えるごとに、容姿や行動の描写を軽く付け加えておくのが自然な表現で、読者にもイメージしやすい手法です。
髪の長さや服装、背の高さ、何かを持って現れたならそのしぐさにどんな癖があるか、歩き方に特徴はあるかなどです。
こういった特徴をあらかじめ決めておいて、最初の登場時や場面が変わるたびに、一番読者にイメージしてほしい部分を書くと、その登場人物についての容姿や性格を印象付けることができます。
たとえば長い髪の女性でも、手入れした髪を下ろしているか、後ろで無造作に束ねているか、それだけで、その登場人物が自分の見た目に対するこだわりを持っているかどうか、読者に伝わりやすくなりますね。
持ち物や歩き方でも同様です。
手ぶらでズカズカ歩きながら教室に入ってくる生徒と、カバンを隠すように前に抱えて足音も立てずに入ってくる生徒を書き分ければ、細かく性格の説明をしなくても読者が判断してくれます。
そういった面においてもこだわりを持てば、小説を書く楽しみを更に味わうことができるのです。
最初は何もしない主人公でもかまいません。
周囲から嫌われているいけ好かない主人公でもかまいません。
その主人公が変化して、状況を変化させ決着させる、それが最後には必要となります。
魅力的な脇役を配置するのは、主人公の魅力を際立たせるためであり、脇役が主役になることがないように、登場人物のバランスを取り、ストーリーを動かしていくように執筆をしていきましょう。