本出版希望者必見!出版社の仕事を編集者が解説します その2
編集者は、外部から本の企画を持ち込まれると、まず売れるかどうかを判断します。
編集者が一人で判断することもありますし、判断がつかないようなら営業部に意見を聞きにいきます。
それでも分からないときは、企画を考えた人物がどんな人なのかを見て判断します。
特に小説やエッセイ、料理や手芸のノウハウ本などといったジャンルは、著者の人となりを重視することが多いです。
というのも、こういった創作分野では、面白い本を作る著者ほど、著者が面白いからです。
売れる本を作る人ほど魅力的な人物であると、言い換えてもいいでしょう。
これは外部からの持ち込みを何度か受けているうちに、誰もが実感することです。
あるいは、人気のクリエイターと一緒に仕事をしているうちに気づきます。
実際、売れている人は面白い経歴の人が多く、また、魅力的な人物で話術が巧みだったりします。
有名な作家では、シャーロック・ホームズの著者コナン・ドイルや007シリーズの著者イアン・フレミングは、作品よりも本人の人生のほうが波乱万丈で冒険の連続だったりします。
また、夏目漱石や江戸川乱歩といった作家にはカリスマ性があり、たくさんの弟子に慕われています。
私個人が実際に会ったクリエイターのなかでは、アニメ監督の大地丙太郎さんと長濱博史さんが特に話が上手く、打ち合わせをしている間、ずっと笑いっぱなしでした。
もちろん、「創作者は作品で勝負するべきだ」とはよく言われますし、実際そうあるべきだと思いますが、ただ、作品が面白い人は、例外なく本人も面白いです。
少なくとも独特な雰囲気を持っています。
というわけで、編集者が持ち込み企画を出版するかどうかを決めるのは、企画の内容はもちろんですが、なにより、企画を持ち込んだ人の雰囲気が決め手となります。
特に、今まで一度も出版したことがない人の場合は、人物を見て決めることが多いです。
その人が本の作りかたに詳しくなくても、文章があまり上手くなくても、それは出版社の方でどうとでもなりますので構いません。
最低限の一般常識と文章力さえあればOKです。すぐに具体的なページ数や内容、発売日の話となり、条件が上手くまとまれば、編集者はさっそく原稿を依頼するでしょう。
ちなみにこの時点で、本の良し悪しや売れる売れないの8割が決まります。
ですから、編集者のなかには、何度打ち合わせをしても、なかなかGOサインを出さない人もいます。
それだけその本に対して慎重だといえますし、親身になっているともいえます。
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