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序破急と起承転結の違いを例付きで解説!向いているジャンルや使い方もご紹介!

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物語の構成と聞いたら「序破急」と「起承転結」の2つが日本では有名です。

とはいえ、その違いについて詳しく知っている方は意外と少ないのではないでしょうか?

今回はそんな序破急と起承転結の違い、そして使い分け方をご紹介します!

 

序破急とは

序破急とはもともと能や雅楽で使われていた言葉で、「三部構成」という意味です。

・序:物語の始まりなど導入部分を示します。(背景、登場人物の説明など)

序の役割は、観客や読者を物語の世界に引き込み、興味を持たせることです。

・破: 展開部分で、物語が進行し問題や困難が発生するパート。(問題の発生、登場人物の対立など)

破の役割は、物語をクライマックスに向けて動かし、読者の緊張感や興奮を高めることです。

・急:話の結末になるパート。(クライマックス、破で起きた問題の解決など)

急の役割は、物語を締めくくり読者に強い印象を残すことです

 

序破急は三部構成であることが最も大きな特徴であり、展開の速さや読者に与えるインパクトに強みを持っています。

序破急の例

歌舞伎は序破急の構成をよく用いる伝統芸能の一つです。
特に有名な演目である「忠臣蔵」を例にみてみましょう。

〜歌舞伎の忠臣蔵〜

序:物語の舞台となる江戸時代の背景や主要な登場人物が紹介されます。また物語の発端となる浅野内匠頭(あさのたくみのかみ)の切腹事件が描かれます。
破:浅野内匠頭の家臣たちが主君の無念を晴らすために、吉良上野介への討ち入りを計画し準備を進めます。
急:家臣たちが吉良上野介の屋敷に討ち入り、目的を果たします。

 

起承転結とは

もともとは漢詩の構成方法で使われていた言葉で「四部構成」という意味です。

日本の古典文学や詩でもよく使われているため、日本人にとってポピュラーな表現技法でもあります。

・起:物語の始まりのパートです。(背景や登場人物紹介など)

テーマや背景が紹介され、物語の基本的な状況が説明されます。

起の役割は、読者に物語や文章の世界を理解させ、興味を引きつけることです。

・承:物語の状況が発展し進行します。(登場人物の深掘りや物語の展開など)

承の役割は、物語や文章を進行させ、読者の興味を維持することです。

・転:「転」は、物語や文章の転換部分を指します。(転換、緊張感を高めるならここ)

この段階では、物語が大きく転換し、クライマックスに向かいます。

転の役割は、読者の興味を最高潮に引き上げ、物語や文章の核心に迫ることです。

・結:物語の結末。謎や問題が解決し結論に至るパートです。

ここで伏線をしっかり回収できるといわゆる名作といわれる作品になります。

結の役割は物語をしっかり締めくくり、読者に充実感を与えることです。

 

起承転結は四部展開になっているため、話が比較的ゆっくりすすむ点が特徴です。

そのため、読者にじっくり読んでもらい、一貫性のあるストーリーを書く際にピッタリな表現技法でしょう。

また日本人に馴染みのある展開ですので、万人受けしやすい構成ともいえます。

起承転結の例

起承転結では、夏目漱石の有名な小説「吾輩は猫である」を例にみてみましょう。

〜夏目漱石の「吾輩は猫である」〜
起:主人公の猫が自己紹介をし、物語の背景が説明される。
承:猫の視点から見た人間社会が描かれ話が展開する
転:猫が人間社会の問題や矛盾を鋭く指摘し、物語がクライマックスに向かう。
結:物語の結論や教訓が示され、内容をまとめ終わる。

 

序破急と起承転結はどんな違いがある?

序破急と起承転結は大きく分けて3つの違いがあります。

〜序破急と起承転結の違い〜
・目的と効果
・使われる場面
・話のリズム感

とはいえ、これだけでは違いがわからないかと思いますので細かく解説します。

ひとつずつ、順にみていきましょう。

 

1. 目的と効果の違い

序破急の目的は、短時間で劇的な展開を通じて読者や観客を引き込むことです。

構造上、一気に物語のクライマックスを迎えるので、緊張感やスピード感を重視しインパクトを与えることが目的です。

 

一方、起承転結の目的は、論理的で順序立てた展開を通じて物語の一貫性を保ち、読者に安心感を与えながら徐々にクライマックスに導くことです。

展開の安定感と理解しやすさを重視し、確実に読者に理解してもらうことが目的です。

 

何を目的として、読者に何を与えたいかと言う点で序破急と起承転結には大きな違いがあります。

2. 使われる場面の違い

序破急は、演劇や短編小説、詩など、短時間で強いインパクトを与える作品に向いています。

特に、物語の緊張感や感情の高まりを重視する場合に効果的です。

 

一方、起承転結は、小説やエッセイ、ビジネス文書など、論理的な展開が求められる長文や説明文に向いています。

話の一貫性や論理的な流れを重視する場合に効果的です。

このように序破急と起承転結には使われる状況にも違いがあります。

3. 話のリズム感の違い

序破急は、リズムが速くテンポが急激に変化します。

物語の流れが急激に変わるため、読者や観客を一気に引き込み、強い印象を残します。

 

一方、起承転結はリズムが安定しており、テンポが比較的穏やかです。

物語が順序立てて進行するため、読者も読みやすく理解してもらいやすくなります。

リズム感に違いがあるので用いられる媒体にも違いが出てきます。

序破急と起承転結の使い分け方

最後に序破急と起承転結の使い分け方について、例をあげながらご紹介します。

◾️序破急に向いているジャンルや展開

1. 短編小説や詩

序破急は、短編小説や詩など、限られたページ数や時間で物語を完結させる必要がある場合に非常に効果的です。

劇的な展開と急速なリズムが、読者に強い印象を残し、物語の核心を鮮明に伝えることができます。

2. 演劇や古典芸能

能楽や歌舞伎のような伝統芸能だけでなく、現代の演劇でも序破急はよく使われます。

観客を一気に引き込むための劇的な展開が求められる場合に、特に効果を発揮します。

3. 映画やドラマのクライマックス

映画やドラマの中で、特にクライマックスシーンでは序破急の技法が効果的です。

物語が急速に展開し、視聴者に緊張感と興奮を提供することで、強い印象を与えます。

4. 広告やCMなどプロモーション

広告やプロモーションの文章でも、序破急の構成は有効です。

短時間でメッセージを伝え、読者の関心を引き付けたい場合に、劇的な展開とインパクトを与えるこの技法は効果的です。

 

◾️起承転結に向いているジャンルや展開

1. 長編小説やエッセイ

起承転結は長編小説やエッセイなど、物語の一貫性と論理的な流れが重要な場合にピッタリです。

読者に安定感を与えながら物語を展開し、徐々にクライマックスに導くことで、満足してもらいやすくなるでしょう。

2. 自己啓発本やビジネス書

自己啓発本やビジネス書では、論理的な構成が求められます。

起承転結を用いれば、情報を整理し読者が理解しやすい形で伝えられます。

3. 教育教材や学術論文

教育教材や学術論文でも、起承転結が効果的です。

情報を段階的に展開し、読者が理解しやすい形で結論に導くことで、理解しやすい文章になります。

4. ブログやウェブ記事

ブログやウェブ記事でも、起承転結の構成は有効です。

特に、長文を書くような実体験やビジネス系のコンテンツと相性がいいでしょう。

 

コラム:序破急と守破離は何が違うの?

序破急に似た言葉で「守破離」という言葉があります。

似たような語感で同じ3文字のため、よく間違えられがちですが序破急と守破離には大きな違いがあります。

守破離は基本的に武道やビジネスで使われる言葉で、ものごとを3つのステップに分けて習得することを意味します。

1つめの「守」は先生の教えを身につける、いわゆる基本を身につけるというステップです。

2つめの「破」は先生の教えを破り、少しずつ自分独自の色を加えていく応用のステップです。

3つめの「離」は先生の教えから離れ、完全に新しい自分の形を身につける独立のステップです。

序破急も守破離も3つに分かれる点は同じですが、使われる場面も意味も全く違います。

 

◾️まとめ

序破急と起承転結にはそれぞれ強みがあり、簡単にまとめると以下の通りです。

・序破急:劇的な展開でコンパクトに伝える
・起承転結:ゆっくりな展開で確実に伝える

もちろん文章は内容が大切ですが、表現技法を学ぶことで読者にもっと伝わる文章が書けるようになります。

あなたが作りたい物語や伝えたい内容に合わせて、上手に使いこなしてみましょう!

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