知り合いが出版した本を貰った際のお礼状の書き方とマナー
献本を受けた!お礼状ってどう書けばいいの?
出版された本を贈呈され、お礼状を作成したことがある方は非常に少ないのではないでしょうか。
そのためこのようなケースに直面し、どのように対応して良いのか分からず困る方は多いです。
■本を贈呈されるケースの例
・仲の良い友達が自費出版して本が贈られてきた
・ちょっとした知り合いが出版し、献本を受けた
・取引先の方がご出版され、著作が会社に贈られてきた
・大学の研究室の先生から著作を献本された
・お世話になっている偉い方より自伝を頂いた
全く文面も思い付かず、言葉遣いも分からず、そもそも御書なのか御著書なのか本なのか・・・。
このような方々のために、本を献本された際に使えるお礼状の具体的な文例集と、気を付けるべきポイントをまとめてみました。
まずは具体例。献本された際に使えるお礼状の具体的な例文集
いくつかのシーンを想定して文例を作成しました。
ご自身のシチュエーションに近いものをアレンジして使ってみてください。
そのまま使用頂いても良いですが、ご自身のケースに併せて文面を適宜修正をして頂ければと思います。
ケース①:仲の良い友人が自費出版して本が贈られてきた
●●の出版した本を送ってくれてありがとう!
貰って早速今読んでるけど、流石●●だね。
〜〜の部分とか本当に読んでいて面白かった(^^)
また会った時に感想伝えさせてね!
■ポイント:
出版された方が仲の良いご友人であれば、わざわざ肩肘張ってお礼状を出す必要もないと思います。このような場合は、ラインやメール、電話でお礼を伝えてしまうのが良いと思います。
関係性にも寄りますが、大抵上記のような内容で十分でしょう。
ケース②:ちょっとした知り合いが本を出版し、献本を受けた
この度は私にまでご出版された本を送って下さり、有難うございました。
月並みな感想になりますが、●●さんの人生論、すごく面白かったです。
どんな分野の本でも成功した方の著書は「自分がどうしたか」がメインで自伝のようになりがちですが、●●さんの本は「どう考えて行動したら良いか」が具体的に書かれていてすごく勉強になりました。
特に274ページの「考え方にセンターピンを設定する」のところは、私も早速参考にさせて頂いています。
献本下さって本当に有難うございます。またご連絡させて頂きますのでこれからもよろしくお願いします。
■ポイント:
お知り合いとの仲の良さの程度によりますが、メールやラインで良いのではないでしょうか。
お礼状を贈らなければいけないと思い込んでいる方も多いですが、実際のところ、お礼の気持ちがしっかりと伝わることが重要です。
今回はメール前提で文面を作成しました。
ケース③:取引先の担当者がご出版され、著書が会社に贈られてきた
●●様
拝啓
盛夏の候、時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。
この度は(本のタイトル)のご出版、誠におめでとうございます。
●●様よりご献本頂きました御本、早速拝読させて頂きました。
非常に見識の深い内容が非常に面白く、気付いたら最後まで読み上げてしまいました。
このような素晴らしい書物に触れる機会を与えて下さり、大変感謝致しております。
以前より●●様にはご教養の深さを会話の端々からも窺い知ることがございました。
その素晴らしいお力がこのように本という形になったことに敬意を表すると共に、改めてお慶び申し上げます。
自身を修練するための手引きとして、この書物より学びました内容を日々活用していきたい所存です。
今後も●●様には一層ご精励下さいまして、ますますご活躍されることを陰ながらお祈りしております。
まずは略儀ながら書中にてご出版のお祝いを申し上げます。
敬具
■ポイント:
私が商社マン時代にお客様から献本を頂いた際に書いたお礼状の文面をアレンジしたものです。多くの場合献本を受けるのは目上の方からになるかと思いますので、文面は丁寧に記載ください。
また、意外とミスしがちなのが漢字とひらがなの統一感です。「致します」と「いたします」、「御」と「ご」などが入り混じっていると与える印象が良くないので気を付けましょう。(「御本」は熟語なので例外)
ケース④:大学時代の研究室の教授から著書を献本頂いた
拝啓
新秋の候、●●先生にはますますご健勝にてご活躍のこととお慶び申し上げます。
卒業後はご無沙汰しており、お詫びの言葉もございません。
さて本日は先生のご著書をご恵贈頂きまして、厚くお礼申し上げます。
いつもながら温かい先生のお心遣いを頂きまして、深く感謝しております。
大学卒業後は全く違う業界にて働いていることもあり、政治についての書籍を拝読させて頂くのは、実は先生の研究室在籍時以来です。
当時が懐かしく思い出されると同時に、先生のご見識の深さに改めて驚かされております。
まだまだ未熟者の私でございますが、今後とも何卒ご指導ご鞭撻の程宜しくお願い申し上げます。
季節の変わり目の折、くれぐれもお体を大切になさってくださいませ。
近いうちにご挨拶に伺うつもりではございますが、まずは書面にてお礼申し上げます。
敬具
ケース⑤:面倒臭くて読む気もしない本を貰った場合
この度はご著作を賜りまして大変有難うございました。
ずっしりと感じる本の重さから、●●様の歩んできた道のりをひしひしと感じております。
大変な力作でございますね。
これからじっくりと拝読させて頂きますが、まずは拝受のお礼までにご連絡させて頂きました。
今後ともよろしくお願い致します。
■ポイント:
本来は最後まで読み、感想を送るのがマナーなのかもしれませんが、お礼状は貰ってすぐ出した方が相手に与える感謝の気持ちもより伝わるものです。
「この自伝はちょっと長いし読むのが辛い」ということもあるでしょうし、そもそも読む時間が取れないこともあると思います。
そのような場合、「これからじっくりと拝読させて頂きますが、取り急ぎお礼状を出しました」と書くという手があります。
コラム:メールの場合、件名はどうすればいい?
メールの場合は本文に加えて件名を書く必要があります。
基本的には 【書籍名】+お礼の言葉 を件名に記載すればOKです。
友人や知り合いの場合はかしこまる必要はないので「【書籍名】のお礼」や「【書籍名】読みました!」などでも良いでしょう。
取引先の担当者や教授の場合は丁寧な表現が適切なため「【書籍名】御礼」や「【書籍名】ご恵贈御礼」などが良いでしょう。
なお恵贈とは送っていただいたという意味の謙譲語ですから、献本のお礼に相応しい表現です。
より相手に伝わるお礼状にするためには?
以下の3点を心がけましょう。
まずは具体性を付けることです。本のどの部分が面白かったのかを記載するだけで、あなたが本を本当に読んだことが相手に伝わります。
次に「読んで行動した」内容を含めることです。これは自己啓発本や勉強本の場合のみになりますが、「実際に読んで自分の行動に影響を与えた」という事実は、相手の心の琴線に触れる発言です。
最後に、第三者を褒めることです。これは相手を褒めるテクニックの一つですが、例えば執筆期間中支えてくれた奥様、選んだ出版社の適切さ、表紙を作成したデザイナー、などです。
自分自身を褒められるよりも、自分の選択を褒められる方が、抵抗なく心に響きやすいということが心理学の実験より判明しています。
心のバリアをうまく突破し、相手に心から喜んでもらうには、間接的な褒め方も混ぜると良さそうです。
そもそもなぜ献本をするの?
献本をする理由は大きく2点あります。
・友人やお世話になった人に感謝を込めて献本を行うケース
・出版した書籍を多くの人に読んでもらうために献本を行うケース
まず1つめのケースは、本を出版するにあたってお世話になった関係者(専門書なら教授や技術者、エッセイなら自分を日々支えてくれる人など)や、
日ごろから親しくしている友人に向けてありがとうの意味を込めて贈ります。
2つめのケースは認知度拡大やマーケティングといった意味合いもあります。
本は人に読んでもらってこそ意味があり、より多くの人に読んでもらうためには、読者に面白いと思ってもらい人に勧めてもらう必要があります。
このケースは各分野の著名な人や有名人、認知度の高いインフルエンサーに献本をすることが多いです。
有名な人が感想を述べていたり、紹介しているとより多くの人が本を読んでくれますよね。
なので本の認知度拡大のために有名人に献本を行うのです。
お礼状を出すタイミングは?
基本的には出来るだけ早く出しましょう。
一般的なお礼状は届いたという報告も兼ねるため、届いてから1〜3日程度が目安です。
本の場合は読むのに時間がかかるのでその限りではありませんが、基本的には「出来るだけ早く」と考えておいてください。
便箋とはがき、どちらを使えば良いの?
基本的には便箋です。
ハガキだと簡易的な印象を与えてしまいます。
なお便箋は、カジュアルな印象を与えないように、色柄ものや横罫のものは避けましょう。
白無地の縦罫のものを使用してください。
同じく封筒も長型4号の白無地を使用しましょう。
茶封筒は事務的文書用ですので避けてください。
縦書きと横書き、どちらが正しいのか?
縦書きが基本です。
ただし、友人や家族など近しい人に送るのであれば横書きでも問題ありません。
その他のお礼状の注意点
手紙の基本的な構成を守るようにしてください。
相手が目上で遠い関係の人になる程、構成を守ることが重要です。
また、書いた後は必ず読み返し、可能であれば第三者にダブルチェックをしてもらいましょう。
固有名詞の間違いは当然ですし、誤字脱字は相手を不快にする可能性もあります。
また、書く道具にも気を配った方が良いでしょう。
万年筆や毛筆、インクペンで書いた場合は丁寧な印象を相手に与えます。
間違えた場合は修正テープや修正ペンを使わずに、新しい便箋に書き直すようにしてください。
間違えることを想定して、便箋は複数枚準備しておくようにしましょう。
お礼状は気持ちが一番。でもマナーや書き方にもしっかり気を配ること。
一番大切なことは間違いなくあなたの気持ちがこもった手紙であることです。
とはいえマナーが守れていなかったり、書き方を間違えていたりすると、相手に悪い印象を与えることもありえます。
特に相手は出版をしている人間ですので、このあたりの違和感にはすぐに気づくかもしれません。
マナーや書き方もしっかり把握し、あなたの気持ちがしっかり伝わるお礼状を書くようにしてください。