本出版ガイド

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辰巳出版でドキュメント系写真集を出版した体験談

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私は某中小出版社の編集長でした。

毎日、深夜から夜明け前まで新宿ゴールデン街に居座り、あらゆる情報収集に努めるというのが一番の仕事になっていました。

編集者、作家、詩人、脚本家、映画監督、男優、女優(卵も)と、色々な人たちに出会えるゴールデン街という場所は情報の宝庫です。

編集者の立場でゴールデン街にいると、そこで出会ったライターやカメラマンから、彼らが命がけで成し遂げた成果物である原稿や写真を預かることが良くあります。

そうして、編集者は原稿や写真を入手し、社内の企画会議に臨むのです。

手元に、既に原稿、写真があるというのがポイントです。

どういうものになるのか見当も付かない状態より、実物があった方が社内の承認も降りやすいのです。

従って原稿写真を預けて貰える信用度の高い編集者の企画が良く通ります。

編集者は別の出版社に仕事を依頼することもある:

一方で「これは社内会議で通るな」と判断して原稿写真を預かったものの、運悪くその企画が自社では通らないことがあると、預かった編集者としては大いに困ります。

ゴールデン街で会った方々から信用されなくなってしまいます。

そういうことが続くと、誰も、原稿写真を持って来てくれないという悲しい編集者になってしまいます。

そうなっては困るので、自分の在籍する出版社で出せないと分かると、その本がより売れるよう手を加えて、別の出版社(編集者)に刊行を依頼することがあります。

他の編集者は分かりませんが、少なくとも私はそういう編集者でしたし、ゴールデン街ではそういう編集者に沢山出会いました。

そんな背景もあり、私は辰巳出版のあるムック月刊誌の編集長に「定期月刊とは別枠の別刊扱いでドキュメント系写真集を自費出版させてくれないか」と持ち掛けたことがあるのです。

知り合いのカメラマンの写真に私が文章を加えることにした:

ゴールデン街の行きつけの店で飲みながら話を纏めました。

その際、「写真だけでなく文章もあった方が面白くなる」という先方の申し入れを受け入れ、私がライターをやることになりました

この内容は数日後には簡単に企画会議でOKが出たとのことで、その連絡を待って、私は一気に、先方の意向に沿う文章を書き上げ、最終入稿から、1ヶ月ちょっとで書店に並んだのです。

ドキュメント系写真集とは言いつつも、実際は性的な要素も多い写真集に仕上げましたので、各種媒体での露出(無料宣伝)も多くなり、売れ行き上々という感じで平積みされていました。

ドキュメント色を極力抑えてでも、性的な要素、性的な視点を求める購買層に期待して、文章的にそういう気分を誘発するように執筆したのです。

書籍の委託期間は6ヶ月、雑誌ですと3ヶ月です。請求、支払いも雑誌は早いわけです。

月刊の定期刊行物雑誌の「別刊」という形にして、低予算で出すメリットは大きのです。

なにより、資金回収を早めて資金繰りに貢献します。

赤字を埋めるために、とにかく、取次会社に多量の委託品(書籍、雑誌)を送り込むというのが出版社の存続には有効なのです。

そういうことを見越しての「別刊」での発行依頼でしたが、まさに読み通りだったということかと思います。

このドキュメント系を標榜しつつもやや性的な要素を含む写真集は、ヒット作品となり、大手出版社が追随するところになりました。

ヒットしたその後のエピソード:

実は私は一銭も受け取らず、その全額を,私を信じて全写真を丸投げしてくれたカメラマンに渡しました。

ライター料、斡旋手数料をも要求せず、更に自社で刊行されなかったことを詫び、これに懲りずに、また好いものが撮れたら持って来てねと言って、全額を手渡しました。

それでも、その時、カメラマンの表情がやや不本意に見えて、私としては、ちょつと悲しい思いをしていました。

おそらくカメラマンにとっては文章不要で、自分の写真だけで勝負したかったものと推察しました。

そういう意味では、気の毒な目に合わせてしまったわけです。

しかし、今回のヒットのおかげで、私も自社でその種の企画も通し易くなりました。

当初、不本意見えたカメラマンも、その後そちら方面のドキュメント写真家として大いに売り出しに成功。有名カメラマンになりました。

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