【助成金がある財団一覧表】出版助成のすべて
美術、翻訳、研究、学術、博士論文・・・すべてのジャンルの出版助成・助成金一覧を紹介します!
美術書や学術書、翻訳書などの出版を考えられている方の中には、以下のような疑問を持つ方が多くいらっしゃいます。
博士論文を出版する上で出版助成って受けられる・・・?
研究者じゃなくても受けられる助成金ってあるの・・・?
美術書のような学術以外のジャンルでも出版助成金って受けられる・・・?
自分の研究分野で本を出版する際に助成金の応募ができる財団を知りたい・・・
自費出版の費用が高いので、支援を受ける方法を知りたい!
商業出版の多くは出版社の意向が入るため、自費出版になりがちです。
そうでなくとも研究テーマがニッチである場合は売り上げが見込めず、自費出版にならざるを得ません。
実際、研究成果や論文等を出版には助成金は必要不可欠なものです。
この記事では公的財団や大学が提供している「出版助成金」の一覧、その手続きの方法をまとめました。
この記事では主に以下の内容を知ることができます。
■この記事でわかる主な内容:
出版助成を行っている団体一覧
具体的な出版助成金申請の流れ
・・・・・
■下記内容に関しても解説しています:
出版助成が適用になる条件出版助成はいくらもらえるのか
助成金が受けられなくても出版はしておいた方が良いのか
参考:大学生でも出版は可能か?22歳(大学4年生)で出版した私が解説します。
補足:出版の流れについて先に把握しておこう!
助成金の目処がついてから出版について調べ始める方が多いのですが、それは手順として誤りです。
例えば、通常助成金を申請する際に「いつ出版可能なのか」という項目も回答が必要になりますが、当然、出版の流れを把握した上でしっかり詰めて準備をしていないと、明確な回答ができません。
しっかり準備することで審査時の印象も良くなるので、100%先んじて準備しておくべきです。
なお、大手出版社であるパレードブックスが「出版のイロハを記載したパンフレット」を無料で送付してくれます。
本の出版に興味のある方は、出版に関する知識や出版までの流れを把握する意味でも、こちらの出版パンフレットを入手しておくことをお勧めします。
■資料請求はこちら:
出版助成が受けられる条件は?学術研究だけ?
出版助成は誰でも受けられるわけではありません。
出版助成を行っている団体が支援したい対象にのみ助成金が支給されます。
それは書籍の内容であったり、在住地であったり、出版言語であったり様々です。
様々な出版助成が存在しているので、研究者ではなくとも受けられる出版助成もいくつも存在しています。
後述する一覧にざっくりの情報をまとめているので、自分が対象になるかどうか確認してみてください。
出版助成はいくら支援してもらえるのか。
その財団によりますが、基本的には出版費用の全額か、一部の助成が多いです。
出版費用は100-500万くらいが多いので、ざっくりそのくらいのイメージで良いと思います。
詳しくは個別の財団の情報を確認してください。
出版助成の種類とその一覧。日本学術振興会、トヨタ、鹿島、サントリーetc・・・
下記は日本学術振興会及びその他各財団の出版助成の一覧です。(大学主催のものは後述します)
下記は過去5年に出版助成を行なっていた財団を全て含めているので、ご自身が対象になりそうなものがあれば、現在応募受付があるかどうか公式ページを見てみることをオススメします。
KEY | ジャンル | 助成プログラム名 | 助成団体名 | ざっくりの助成対象ジャンル (細かい条件や毎年の実施の有無は公式サイトをご確認ください。) |
1 | 情報通信 | 大川出版賞 | 大川情報通信基金 | 情報ならびに通信分野の出版 |
2 | 住関連 | 出版助成事業 | 住総研 | 住関連分野における研究の発展や研究者育成及び支援の出版 |
3 | 経済・社会科学 | 各種助成 | 経済・社会科学国際交流江草基金 | 法学を中心とする経済・社会科学分野の国際交流に関する出版 |
4 | 経済・社会科学 | 司馬遼太郎賞 | 司馬遼太郎記念財団 | 学芸・文芸・ジャーナリズム各分野の出版 |
5 | 経済・社会科学 | 刊行助成 | 全国銀行学術研究振興財団 | 経済・金融およびこれらに関する法制に係る研究の書籍の出版 |
6 | 経済・社会科学 | 研究出版助成 | 租税資料館 | 税理士、公認会計士など税務の執行に関する調査研究の学術著書の出版 |
7 | 経済・社会科学 | 助成金 | 竹村和子フェミニズム基金 | フェミニズム/ジェンダー研究の学術著書の出版 |
8 | 経済・社会科学 | 出版・刊行助成 | トラスト未来フォーラム | 信託制度や信託事業の発展に関する書籍の出版 |
9 | 経済・社会科学 | 学術奨励金 | 二十一世紀文化学術財団(木川田記念財団) | 経済・社会・文化の諸分野における将来の学術発展の書籍の出版 |
10 | 経済・社会科学 | 学術定期刊行物助成 | 日韓文化交流基金 | 人文経済・社会科学分野の学会・研究会をまとめた書籍の出版 |
11 | 経済・社会科学 | 研究出版助成金の給付 | 日本証券奨学財団 | 証券金融経済分野の学術著書の出版 |
12 | 経済・社会科学 | 研究・出版・事業助成 | 韓昌祐・哲文化財団 | 日本と韓国に関わる文化・芸術・歴史・社会のスポーツ等の分野における学術研究著書 |
13 | 経済・社会科学 | 人文科学研究助成(一般助成) | 三菱財団 | 人文社会系領域での基礎的かつ着実な実証研究の学術著書の出版 |
14 | 経済・社会科学 | 出版助成 | メルコ学術振興財団 | 管理会計学及び関連領域の研究成果の出版 |
15 | 経済・社会科学 | 研究助成プログラム | トヨタ財団 | 社会問題の解決方法や、新たな価値の創出に関する研究の学術著書の出版 |
16 | 教育 | 懸賞論文 | 北野生涯教育振興会 | 生涯教育に関する論文の入賞作品の出版 |
17 | 賀川豊彦 | 出版助成 | 賀川事業団雲柱社 | 賀川豊彦に関する研究および啓発に関する出版 |
18 | 多ジャンル | 助成事業 | 大分放送文化振興財団 | 教育・文化・芸術・学術・環境保全分野の出版 |
19 | 多ジャンル | サントリー学芸賞 | サントリー文化財団 | 政治・経済、芸術・文学、社会・風俗、思想・歴史に関する出版 |
20 | 多ジャンル | ふじのくに文化文化プログラム推進事業補助金(事業補助) | 静岡県文化財団 | 国際文化交流事業や広域的芸術文化事業、住民参加型自主企画事業に関する書籍の出版 |
21 | 多ジャンル | 研究助成 | 薬力学研究会 | 研究助成事業、学術講演会等の開催及び助成事業など |
22 | 多ジャンル | 一般助成 | ヤマト福祉財団 | 各種調査、研究、文化事業、スポーツ活動に関する書籍の出版 |
23 | 多ジャンル | 研究・出版刊行・海外渡航費助成 | 横浜学術教育振興財団 | 研究学生・若手研究者に対する助成 |
24 | 多ジャンル | 吉田秀雄記念事業財団研究助成金 | 吉田秀雄記念事業財団 | 広告・広報・メディアを中心とするマーケティングおよびコミュニケーションに関する分野の出版 |
25 | 多ジャンル | 科学研究費補助金(科研費)研究成果公開促進費 | 日本学術振興会 | 研究成果の公開発表、重要な学術研究の出版 |
26 | 文芸・絵本 | 日産童話と絵本のグランプリ | 大阪国際児童文学振興財団 | 未発表の創作童話、創作絵本 |
27 | 文芸・絵本 | ちゅうでん児童文学賞 | ちゅうでん教育振興財団 | 小学校高学年から中高生までを読者対象とする児童文学作品の出版 |
28 | 文芸・絵本 | 親鸞賞・蓮如賞 | 本願寺文化興隆財団 | 小説(フィクション対象またノンフィクション対象)に関する書籍の出版 |
29 | 福祉 | 日本動物児童文学賞事業 | 日本獣医師会 | 正しい動物福祉・愛護の考え方をまとめた書籍の出版 |
30 | 福祉 | 助成事業 | 名古屋ライトハウス 愛盲報恩会 | 視覚障害者団体への助成への書籍の出版 |
31 | 地理 | 出版助成 | 日本地理学会 | 地理学研究に関する書籍の出版 |
32 | 地域 | 高知出版学術賞 | 高知市文化振興事業団 | 高知県内在住者あるいは県外在住者で高知に関する事項をテーマにした学術的著述 |
33 | 地域 | アイヌ関連研究事業(出版) | アイヌ民族文化財団 | 収支状況が厳しいアイヌの社会や文化に関する出版。 |
34 | 地域 | 内田百閒文学賞 | 岡山県郷土文化財団 | 岡山が舞台となる作品や、岡山県出身の人物・自然・文化などを題材とした随筆及び短編小説 |
35 | 地域 | 文化団体等支援事業 | 宮城県文化振興財団 | 総合文芸誌等もしくは郷土史、民俗、伝説等の郷土研究誌などの出版。 |
36 | 工学 | 学会賞 | 日本設計工学会 | 設計工学に関する出版 |
37 | 芸術・文化 | 出版助成 | 出光文化福祉財団 | 日本美術(絵画・書跡・彫刻・工芸)の調査・研究に関する出版 |
38 | 芸術・文化 | 文化活動事業費助成 | いばらき文化振興財団 | 文化芸術分野の出版 |
39 | 芸術・文化 | 出版援助 | 鹿島美術財団 | 日本の美術の振興に寄与する研究成果の出版 |
40 | 芸術・文化 | 茶道文化学術賞 | 三徳庵 | 茶道文化学術に関した出版 |
41 | 芸術・文化 | 海外出版助成 | サントリー文化財団 | 日本の文学、芸術、評論の外国語への翻訳書の出版 |
42 | 芸術・文化 | 文化活動助成 | 広島市文化財団 | 音楽、美術、演劇、民俗芸能等の文化活動をまとめた出版 |
43 | 芸術・文化 | 文化財保護および芸術研究に関する事業 | 文化財保護・芸術研究助成財団 | 文化財の管理、修理、復旧、整備、模写、公開、伝承者の養成についてまとめた書籍の出版 |
44 | 芸術 | 美術(絵画・版画・彫刻等)に関する助成と、美術研究に関する出版助成 | 花王芸術・科学財団 | 美術に関する研究成果の出版 |
45 | 環境・電気 | 研究成果の出版助成 | 関西エネルギー・リサイクル科学研究振興財団 | 電気エネルギーの供給・利用技術、資源リサイクル技術に係わる分野の学術雑誌投稿 |
46 | 環境・電気 | 総合防災科学分野研究助成 | 関西エネルギー・リサイクル科学研究振興財団 | 電力供給をはじめライフラインの早期復旧に関する人文・経済・社会科学的観点の研究出版 |
47 | 環境・電気 | 環境助成 | こしじ水と緑の会 | 自然保護に関する実践活動や研究の出版 |
48 | 環境・電気 | 出版助成 | 自然保護助成基金 | 自然保護に関する優れた書籍の出版 |
49 | 環境・電気 | 出版助成 | 中部電気利用基礎研究振興財団 | 電気の利用及びこれに関連する基礎的な技術に関する書籍の出版 |
50 | 環境・電気 | 研究助成 | 長尾自然環境財団 | 主にアジア・太平洋地域の開発途上国における次代の自然環境保全をまとめた書籍の出版 |
51 | 環境・電気 | 出版助成 | ニッセイ財団 (日本生命財団) | 環境研究成果に関する書籍の出版 |
52 | 科学 | 事業助成(一般-科学技術振興関係) | マツダ財団 | 小中高の生徒を対象とした「科学体験」に関する書籍の出版 |
53 | 海洋 | 日本海学研究グループ支援事業 | 日本海学推進機構 | 日本海学に関する学術著書の出版 |
54 | 海外 | 翻訳出版助成 | 国際交流基金 | 日本語図書の外国語翻訳・出版 |
55 | 海外 | 出版助成 | アメリカ研究振興会 | アメリカ研究の研究成果の日本語での出版。 |
56 | 海外 | 日仏翻訳文学賞 | 小西国際交流財団 | フランス語から日本語へ及び日本語からフランス語へ翻訳出版された本の出版 |
57 | 海外 | 出版助成 | りそなアジア・オセアニア財団 | 我が国とアジア・オセアニア諸国との間の、各種国際交流事業に関する書籍の出版 |
58 | 海外 | アメリカ研究図書出版助成 | アメリカ研究振興会 | アメリカ研究に関する書籍の出版 |
59 | 海外 | 豪日交流基金サー・ニール・カリー奨学金 | オーストラリア政府 | 日本語で書かれたオーストラリア研究の書籍の出版 |
60 | 海外 | 「日本語教材制作助成」プログラム | 国際交流基金日本語国際センター | 海外における日本語教育のための教材の出版 |
61 | 音楽 | コンクール | 日本童謡協会 | 日本の童謡についての書籍の出版 |
62 | 音楽 | 日本プロ音楽録音賞 | 日本音楽スタジオ協会 | オーディオ協会、レコード協会と共催した音楽録音作品の出版 |
63 | 医学 | 研究出版助成金 | 金原一郎記念医学医療振興財団 | 基礎医学医療研究の出版 |
補足:大学の出版助成金について
上記以外にも、各大学主催の出版助成プログラムも存在します。
例えば下記のような大学や団体が募集をしています。
■出版助成金を主宰している大学及び関連団体の例:
早稲田大学、立教大学、東京大学、中央大学、九州大学出版会、武蔵野美術大学、法政大学出版局営業部、法政大学大学院、東北大学出版会、名古屋大学出版会、駒澤大学、成城大学、京都精華大学、上智大学
ただし多くの場合、支給要件は在学生や在籍している研究者に限ります。
したがってご自身の所属している大学があればこちらもチェックしてみることをオススメします。
出版助成の応募の具体的な流れ
具体的な流れはシンプルです。
■出版助成応募の流れ
1.各財団の応募要項を確認
2.応募(応募方法は要項に記載あり、多くの場合webから応募可能)
3.助成対象になった場合、本を執筆
なお応募の際に必要な情報は、各財団異なりますので個別の応募要項を確認してください。
多くの場合下記の情報が要求されます。
■必要となる情報:
企画意図
出版物にて記載する内容の説明
内容構成(目次案)
仮タイトル
分量(原稿枚数または文字数)
原稿をいつまでに書き上げることができるのか
読者対象
主な所属学会(あれば)
参考:なぜ大学教授や研究者が自費出版を行うのか?その理由を調べました!
助成金が受けられなくても出版はしておいた方が良い?
実は助成金によっては、版権が著者ではなく助成団体になる場合があります。
このケースはそこまで多くはないですが、大学の財団の場合などはよく見られます。
このような場合、費用を負担しても自分で出版した方が良いという判断もあります。
なお、出版の目的は様々ありますが、一番のメリットは自身のブランディングです。
「xxx」という本を出版した、という事実があるだけで、研究や就職、学会、イベント講師などのアルバイト、テレビ出演など多くの機会につながるきっかけになります。
本を出版するというのは特に一般の人にとっては雲の上の出来事。
助成を受けられるレベルの本を書けなくても、1冊でも良いので自分で自費出版してしまうというのは有益な選択肢として考えておくべきでしょう。